ムービング・ストライクCB(転換社債)。
日本語で、転換価格(下方)修正条項付き転換社債。
資金調達力の低い企業が、資金調達を図る時に利用することが多い。
簡単にいえば、
これを買った人は株価が下がれば下がるほど得をする(*_*)!
下限価格が決まっているもの、決まっていないものの2種類ある。
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*転換社債:
* 事前に決められた価格で新株を社債と交換できる権利がついた債権のこと。
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●転換社債とMSCBの違い●●●●●●●●●●●●●
買い手の立場から、簡単な例で書いてみます。
※分かりやすいように、ここでは転換価格は市場価格そのままの金額で書いていますが、
実際は市場価格の9割で転換できるとのことです。
*転換社債*********
転換社債を購入。転換価格は固定で1000円。
・株価が1200円となった場合
→転換したら200円の利益
・その後株価は800円となった。
→転換したら損。満期まで保有すれば元本+金利が手に入る
株数は、社債の額が1万円なら10株になる。
*MSCB*********
転換価格は株価が下がるにつれて変更可能
1000円で変換可能→500円で変換可能→…
株数は、社債の額が1万円、
株価1000円なら10株、株価500円なら20株、…
つまり、下がれば下がるほど転換できる株数が増える。
もし、その後株価が上がっても、転換価格は低いままにできる
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売り手(=発行元企業)としては、
どちらの場合も発行して買い取ってもらえれば資金が入って終了となる
●具体例●●●●●●●●●●●●●●●●●
MSCBを手にした買い手は、株価が下がれば下がるほど利益を得ることができます。
その例です。
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@発行元企業から株式を借りる
A借りた株式を市場で売る
売って売って売りまくる。
→株価暴落(500円→100円になったとする)
B売れた株数分、保有している社債(MSCB)の転換請求をする。
1株200円の株式と交換。
転換価格は市場価格の90%、つまり10%引きの価格で新株を取得できる。
つまり1万円分のMSCBなら、
市場価格500円なら、90%の価格は450円なので、22株との交換になる
でも、
市場価格が100円になったので、90%の価格は90円、111株と交換できる。
C売った株式を現物決済する
*現物決済***********
* 信用取引の決済方法の一つ。
* 売り立てしている株と、自分の保有する同一銘柄の
* 現物株を交換することで決済する方法
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@で空売った分を、Aで得た現物株式と交換する。
つまり、買い戻しを心配することなく、利益だけを取ることができる
DMSCBが無くなるまで繰り返す
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株価が下がれば下がるほど、MSCBで転換できる株式数は増える。
そのため、下限転換価格(これ以上、下の価格では株式変換できませんよ、というもの)が
設定されていない場合は、
すべてのMSCBが株式に転換されるまで株価が下がり続けることとなる。
しかも、株数も増えることで希薄化も伴う。
この手口はヘッジファンドが利用することが多いそうです。
仮に売り崩さなくても、転換価格が市場価格の90%となっているため、転換請求で得る
新株で相殺すれば、10%の利益を手にすることができる。
●利用銘柄例●●●●●●●●●●●
下記銘柄が特に乱発したそうです。
検索して出たものをちょっと手直ししただけなので、
確認はしていないです。
あぁ〜なるほどね。と思う銘柄たちですね。
全部は知らないけれども。。
1757 千年の社
2330 フォーサイド・ドット・コム
2363 モック
2732 クインランド
2768 双日
3726 SDホールディング
4753 ライブドア
4797 オーベン
5856 東理HD
6819 オメガプロジェクト・ホールディングス
6830 YOZAN
8473 SBI
8922 アイディーユー
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MSCBが発表になった時には、既に株価が暴落している後、っていうパターンも
多いようです。 あぁ怖い。
UBSがこの手法の常連さんってどこかで読みました。
*Tさん**********
こんばんは。
6月に経営破たんしたアーバンコーポレイションがBNPバリバに300億円の
転換社債型新株予約権付き社債を発行、スワップ契約によって最終的に58億円の
営業外損失まで発生なんて記事を見かけましたが、もしかしてMSCBの条件
プラス逸失する価格(1000円の発行価格が実際には600円になったから残りの400円)
を補償する条項が付いていたとか、考えられますよね。
*私***********
こんばんは!
アーバンもMSCBやってたんですね(*o*)!
調べてみました♪
@6/26 アーバンはMSCBを発行。パリバが買い取って300億をアーバンに支払い。
A6/26,7/8 にアーバンとパリバはVWAPを契約。アーバンは契約金として@の300億を利用
この契約は、BNPパリバに渡した300億は徐々にアーバンに支払われるものと想定していた。
でも、下限条件があった。300円、250円の2パターン。
株価がこの下限条件を下回れば払わなくてもいいというもの。
B株価が下落したため、パリバからの支払いも大幅に下回る。
Cアーバン民事再生 ますます株価下落
→パリバとの契約は終了したものとなった
ということで、58億円の営業外損失になったそうです。
実際パリバからアーバンにいくら支払われたかは、開示されていないそうですよ。
怖いですね〜。
にしても、パリバはこの件で大儲けだったんですね〜
*Kさん
ひよこさん、いつもよく調べられてますね。
お疲れ様です。
少し補足しますと、MSCBを引き受けた証券会社あるいはHF(ヘッジファンド)は、
引き受けと同時に、発行体より株式を借り受けます。
で、彼らはその借りた株をもとに一生懸命株を市場で売ります。
次に売れた株数だけ、保有しているCBの転換請求を行います。
このときの転換価格は市場価格の90%、つまり10%引きの価格で新株を取得することができます。
空売りした株式と転換請求で手にした新株を相殺することで、労せずして10%の利益、あるいは
それ以上の利益を得ることができます。
パリバの場合、スワップ契約を結んだ理由は、
そもそもアーバン事態が倒産寸前の状況で、300億を一気に引き受けてしまうと、
転換価格の下方修正条項をつけたために、株式を300億円分売り切ることができずに、
会社が倒産する可能性がむちゃくちゃ高かったのです。
で、考えたのが、見かけ上は300億発行しましたが、すぐにパリバの手元に返し、パリバがアーバンの
株式を市場で売りにいって、売れた株数のCBの転換請求を行い(10%の利益を確定)
そして、アーバンにお金(売却金額の90%分)を渡す、というスキームにしたのです。
これにより、パリバは死に体のアーバンから、倒産しても回収不能となることがなく、
おいしく儲けられる状況を作りました。
MSCB自体は、第三者割り当ての形をとり、一般的に、財務状態がぼろぼろの会社がMSCBを
発行するという悪いイメージがありますが、
MSCBが出始めた当初は、まともな一部上場企業が、資金調達をする手段として活用されていた
こともありました。
どこをどうまちがったか、MSCBが一部のHFや、ハイエナのような金融ブローカー(証券会社では
ない)などの輩が、飯の種にしてしまったというのが本音です。
となると、パリバのやった行為は正しいのか、正しくないのかといった議論になると思いますが、
個人的には良し悪しの両面があると思います。
パリバがMSCBを引き受けた後の行為は、目に余る部分が見え隠れすると思いますが、一方
引き受けていなければ、その時点ですでにアーバンは、倒産していたと言うことも事実です。
もし、300億全額が調達でき、株価が反発し、アーバンの経営が再生できていれば、
このファイナンスは成功だったと言われていたことでしょう。
結果的には、不動産市況の悪化に歯止めが利かなかったために、同社だけでなく
新興不動産関連企業は、市場からの撤退を余儀なくされてしまいましたが・・・
*私************
ありがとうございます!
沢山教えていただいて感謝ですm(__)m
日記の例文も、教えていただいた内容に変更しました★
アーバンとパリバはそういうからくりになってたんですね。
昨日読みなおしていたら、アーバンはパリバに嵌められたんじゃないの!?っていう
解釈になってました。 助かりましたm(__)m
一時でもパリバのおかげで、再生するチャンスを得ていたんですね。
不動産業界は株価の暴落っぷりがすごかったですよね。。
MSCBも昔は悪くなかったんですねー。
そういえば、当時これを調べた時に、そのように書かれた文章を読んだ気がします。
今はいい企業って、公募増資か、関係作りの目的も含んで第三者割当増資を選ぶという
印象があります。
MSCBのような増資も色々派生して、種類もいくつもあるみたいですね。
でも、そういうのを選ぶのは、まともな資金調達ができないから、なのかなぁと思います。
(といっても、把握できているわけでもないですが(^^;))
すっごく勉強になりました!!
ありがとうございましたm(__)m